若いうちに短期間でも留学をすることで、海外の友達を作ったり、語学力を高めたり、
生まれ育った環境とは異なる文化に触れることで自分の視野を広げてみたいと考えたことはないでしょうか。
天候、食事、地理、人々、その地域での生活の仕方など、真新しい世界に踏み込むことで、今までとは異なったモノの見方ができるようになるきっかけを与えてくれます。
留学先では、日本で所属するグループ、団体(大学、会社、故郷など)が関係なく、一日本人学生として、学業や個人生活を通じて海外の人たちとのの間で新しい役割やアイデンティティーを築いていかなければいけません。その際、多かれ少なかれカルチャーショックを体験します。
カルチャーショックの症状
留学生が経験するカルチャーショックは人によって異なります。
例えば、
・ 孤独感や(欲求)不満を覚える。神経質になり、ひどく疲れる。
また時差ボケが治っても睡眠時間が多く必要になる(または不眠になる)
・ ひどいホームシックにかかる
(日本、家族、友人などから離れて寂しく思うのは普通だが、ほかのことが考えられず常に日本とやりとりをしていたり、泣いていたりするのはおそらくカルチャーショックの一症状)
・ しっくりこないことから、外国に対して嫌悪感や怒りに似た気持ちを覚える。
ささいなことで、必要以上に腹が立つことがある。
・ 大学で同じ日本人仲間に頼りすぎるようになる
(もちろん付き合うことは大切で、友情はとても心強いものだが、日本人だけ固まって、ほかの外国人や、日本以外の国からの留学生との交流を避けることは、貴重な留学の経験を無駄にしかねない)
・「教育制度の違う国でうまくやっていけるのだろうか?」「周囲の期待通りやれるだろうか?」など
海外にいること自体に疑問を抱いたり、学業的に行き詰まる不安を覚えたりする
・ 英語を話すことがおっくうになったり、人と会いたくなくなったりする。
などが現れることがあります。
異文化に適応していく4段階の過程
カルチャーショックを受け、異文化に適応していく4段階の過程があります。
到着後、数週間の間は見るもの聞くもの全てが新鮮に思える。
授業が始まり、生活リズムになじむべく忙しくしているうち、母国を恋しく思う気持ちを感じずに過ごす。
2. 葛藤・闘争期:
余暇を過ごす目的で渡米したのではなく、勉学を修めるために渡米したという
現実に向き合い、実生活を送るということに気づく。困難に直面する場面も経験し、苛立ったり、怒る。
ささいなことでさえ、気に障り、アメリカ人やアメリカの習慣に敵愾心を感じる。
3. 理解・適応期:
時間が経過するにつれ、新しい環境にだんだんなじみ、自分自身も気づかぬうちに
違和感を持たなくなっている。苛立ち、怒りなどを感じる機会が少なくなる。
4. 融合・受容期:
少なくともある程度は、入学した大学やまわりの環境が自分のものに感じられるようになる。
心を許せる友人・知人もでき、周囲から自分が受け入れられたと感じると同時に、自分自身も周囲を受け入れることができてきたと感じる
カルチャーショックを乗り越えるには
留学で多かれ少なかれ誰しも経験するカルチャーショックですが、
下のような姿勢を持つことで乗り越えることができるとされています。
B. 自分のやりとげたい目的は何かを見直すこと
C. 日本的価値観で物事を判断しないように心がけること
D. ひとりでひきこもらないこと
E. 健康な生活パターンを守り、気分転換を図ること
F. 助けを求めること
後に留学経験を振り返ってみて、自分の中で何が変わったか、その変化が家族や友達、職場の人との関係にどう影響してくるかなどを明確にする機会をつくると良いかもしれません。留学後は、渡航した国の友人と連絡を取り合ったり、音楽・本・雑誌・映画など渡航国の文化に触れる機会を増やすなどすると、より異文化に対して興味・知識を深められるでしょう。
異文化に触れる機会を持つことについて、今一度考えてみても良いのかもしれません。
・参考文献
日本教育委員会編著『アメリカ留学ガイドブック』株式会社アルク(2015年)