海外で留学を経験したり、やビジネスをして暮らしていくには、世界中の人と連絡を取り、瞬時に相手がどんな人であるかを判断することがあります。そして海外でも、こちらも人物査定を受けます。グローバルビジネスでは、人に関する話題が多く、国・地域ごとに「人への距離感」の取り方には暗黙のルールがあることを知っておく必要があります。
北米の人々 : 性善説の社会で暮らしているものの、オープンマインドは狭くなってきており、人に対して余計なことは言わない傾向が増えている
アジア地域の人々: 会社、コミュニティなど帰属場所に入ると親しくなり、人の距離は比較的近くなる
アフリカ地域の人々:人に対しての距離が近く、アジア地域の人々と同じように色々な話をしてくる
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日本人は「帰属」だけで人を判断しがち?
人を見るポイントは「思考」「価値観」「倫理の軸」「感情コントロール」の4つを踏まえておけば、世界中の人において、大まかな読みは外れることはないでしょう。
〇 情報として… 学歴、会社、業績、資産形成
〇 人間判断として… 思考の在り方、価値観の持ち方、 自分の哲学(軸)、倫理観、家族観、社会性、感情のコントロール、交友関係、人間関係、生きる満足感
ビジネスパーソンとして素晴らしくても、人間として信用できるかわからない場合、不完全な理解でしかありません。リスク問題や金銭問題が発生した時に、その人はどんな応対をする人なのか、ある程度、想定できないとトラブルに発展する可能性があります。理解を深めるために、時事問題などで意見を聞くことも大事です。
戦争についてどう思うか、プロパガンダがたくさん聞こえるようならその意見についてどう思うか、家族との関係はどうなのか、生きる時間をどう考えているか、そんな質問を並べながら、人として360度見ると面白いでしょう。
自分の事だけでなく、相手の立場を考えるゆとりを持ちながら話を進められると良い結果を引き出せる可能性が高まります。
アメリカでも個人への経済判断は顕著です。どの業界のセールス担当も事業主も
「How much money do you have?」という質問が共通しており、
金融、不動産、あらゆる取引先を含む経済内容をどこでも聞かれます。
答えたくない場合は、
「I wouldn’t like to open the details at this stage.」とお断りすれば良いです。
アメリカの人判断は経済状況や資産形成内容により人を総合的に判断する機会がとても多いのです。
移民国であるせいか、経済力による判断哲学が他の地域より著しく進んでいます。
どちらかというと、「思考」「価値観」「政治性」「ビジネス才覚」を読んでいます。
中でも奥深く見ているのはずるくないこと、悪くないことです。ただし、誠実であるだけではダメで、
ビジネスの能力にどれくらい長けているかをPRできないと商談では相手にしてもらえません。
中東のビジネスは、どこでも人脈がものをいう世界で、それ以外では仕事が取れないという
昔ながらの利権社会です。自由主義ではなく人治主義なので「郷に入れば郷に従え」というスタンスを取ります。
人脈開拓はゼロでは無理で、有力者に契約金を積んでサポートをお願いします。
グローバル社会で成功する実践「7か条」
ビジネスは基本的にお金の関係で成り立っているけれど、それだけではありません。世界との闘いには、日本人だけでなく、世界のあらゆる人々がチャレンジしてきます。グローバルな社会でビジネスを成功させるためには、一体なにが必要なのでしょうか。ここでは、グローバル社会で成功する実践「7か条」についてみていきます。
【第1条】海外仕様の思考枠を体得せよ
海外では科学的な仕込みに裏付けられないとビジネスで成功することはありません。グローバル市場で一から仕事の掘り起こしをするために、観察・分析・仮説・企画案を作り、それらの企画書を踏まえて、実践として行動を起こしていきます。ビジネス目的でコミュニケーションをスムーズに行うためには、「海外仕様の思考の在り方」を学び、その思考枠に沿って論理的なシナリオ展開ができると、語学のハンディをカバーし、100%自分の意図を相手に伝えられるようになります。
【第2条】現地語で「5W1H」を習得する
日本語と同じように、自分の心情を表現できるようになると、とても安心して言葉が話せるようになります。現地語での5W1Hを覚えておくと、ほとんどの土地で「死なない程度に生きていくこと」ができます。
【第3条】「郷に入れば郷に従え」の生活を送る
現地で仕事をして、だんだんと慣れて「郷に入れば郷に従え」の生活を営みます。
生活が始まると住めば都となり、どこの地域で仕事をしても同じことを感じるようになれます。
【第4条】明確なビジョンと計画を持つ
海外では「個人力」を持つのが大事です。基本的に自分のスタイルが必要になります。
いつまでにどんなことを最終ゴールとしてやりたいのかを目的意識として明確にしなければ、
「なりたい自分」にはなかなか到達できません。途中で息切れもするし、そのまま終わってしまうこともあります。
海外で成功するためには、自分を常に奮い立たせる、牽引するパワーを自ら出せることが前提条件となります。
自分の行動がなかなか結果に結び付けられないと、人に飲み込まれ、自分の存在価値を見失ってしまうことがあります。
市場競争の中にうまくいかない人とネガティブに評価することもありますが、どんな時でも人は人と割り切り
自分の道を究められる強さが必要となります。そのためには、人が好きであることを前提にして、
人のネットワークを広げ、何かオファーが得られそうな場合は、人脈を駆使し機会獲得を狙うのもいいでしょう。
グローバルに働いていると色々な姿かたちをした人々と初対面で会い、対話することになります。
外見で人を判断するのではなく、相手の思考で判断をするようになると、どんな人でも本人の意図を推測することができるようになります。
【第5条】偏見を持たない。良好な信頼関係を築く
グローバルビジネス遂行のために求められる能力は、業界と職種で変わってきます。
例えば、経営者になるためには、オールラウンドで経営学の知識が必要になり、さらには
いくつかの専門分野の知識も必要になります。成功するためには、会社のエースというブランドだけでは不十分で
市場価値を上げる力があり、事業戦略を企画し、実行できることがグローバル市場の成果として求められます。
職場の組織では、現地従業員のマネジメントができること、また良好な信頼関係を築けるような対話が求められています。
互いに理解し合い、いい仕事ができる環境が何より重要です。個人としては、現地での自己管理を行い、
とくに孤独との向き合い方、ストレスの解消の仕方を学び、決してぶれることのない自分の軸を確立していきたいものです。
偏見を持っていると成功できる仕事もできないようになるなど、対人関係でも阻害要因を生み出します。
どんな人とも対等に話し、ビジネスが行えるようにできなければ良い仕事はできないし、結果も出すことができないということは認識すべきなのです。
【第6条】やると決めたら絶対にやり抜く気力と能力を持て
グローバルビジネスにおいては、自分自身がすべてです。自分が弱くなったり、実績を上げられなくなったら、
それで終わりと考えた方が良いでしょう。そう、自分の野望はそこで打ち砕かれてしまうのです。
そうならないために、常に次のビジネスの企画をし、イノベーティブなやり方を実践し、
どんどん新しいビジネスモデルを打ち出して収益の確保を図っていかなければ生き残れません。
道を切り開けなくなったら、そこで企画は終わってしまうのです。そうならないように
常に自己の内面をパワーで満たし、考えに考え抜いた企画の精度を上げ、勝てるようにすることが大事なのです。
海外の人を外国人としての自分が牽引していくのは並大抵のことではありません。
信頼を積みあげ、頭脳を駆使し、先読みしながら収益を上げていく。それ以外に自分を証明する道はありません。
【第7条】収益確保は3年以内と心得ること
世界との闘いには、日本人だけでなく、世界のあらゆる人々がチャレンジしてくきます。
競合他社の戦略を読み解きながら、どう戦いをすすめると勝てるのかを考える必要があります。
ビジネスプランには、リソース(資源)の試算、行動計画、時間軸での推移、市場企画の有効性の判断が事前にすべて組み込まれていなくてはなりません。
世界各地でのビジネスの実践経験を通じて、どんなベストシナリオがそれぞれの地域で必要なのかを考え、
最適な戦略を描き、成功に導くこと。新しいビジネスを立ち上げ、収益を確保するのは3年以内、あるいは
中期経営計画上でやり切らなければ損失につながります。
グローバルビジネスに長年携わると、企画を綿密に組み、収益を確実につかむ方向がわかるようになります。
あとは勝てるシナリオにどれだけついてくる人材がいるかが決断のしどころとなります。
参考文献
白藤 香『海外勤務が決まったらすぐ読む本』株式会社あさ出版(2016年)